
はじめに

夜になると悲しくなる「夜の魔力」というものがあります。
私は夫を亡くした当初、四六時中泣いていたように思いますが、よくよく考えると断然夜に気持ちが落ちて泣いていたなと思います。
毎日訪れる「夜」の時間を、少しでも気持ちが楽に、心を落ち着かせる方法をお話ししたいと思います。
この時間のとらえ方が変われば、きっと毎日を楽にする速度が上がります
1. なぜ夜になると気持ちが落ち込むのか?

私はもともと専業主婦でした。
夫を亡くした後、しばらくは引きこもりのうつ状態。
しかし、生活のために社会復帰したことで気持ちが整っていくことを感じました。
日中の強みは「やる事」にあふれていること。
日中は家事や仕事などで気が紛れるので、あっという間に時間が過ぎていきます。
精神的にも緊張しています。
その反面、夜はそこから解放され、ふとしたときに故人を思い出す時間が増えますね。
子どもが小さい場合、子どもが寝てしまった後など、ひとりで過ごす時間が生まれます。生活音もなくなり、静かですから、孤独感を感じやすいでしょう。
寝る前に考えごとをしてしまい、悲しみが増幅したり、涙が込み上げてきたり。
そして、何より、悲しい中で気持ちを張り詰めて活動しているので、夜になると疲れがどっと出やすいです。
体が疲れているとなかなか前向きに考えにくいもの。
「夜は魔物が住んでいますので、夜に悲しくなるのは自然なこと」と理解するだけでも、少し気持ちが楽になりませんか?
2. 夜に襲ってくる悲しみや寂しさを和らげる方法
● あたためる

気持ちを緩めるためには、こわばりを取る必要があります。
それには、体を温めることを心がけてみてください。
カフェインレスの温かい飲み物を用意したり、湯船にしっかり浸かって体を温める習慣をつけると、リラックスして気持ちが和らぐこともあります。
● スマホから距離を置く

スマホは気を紛らわせるのにはとてもいい反面、地雷になりうる要素もたくさん潜んでいます。
ですので、スマホをあえて遠ざけるというのも一つの方法です。
隣の芝生は青く見えるもの。また、日中検索したものがおすすめに上がってくることもありますよね。
● アロマやヒーリング音楽を活用する

脳でいろいろと考えてしまいがちになるので、そういう時は五感のアプローチが効果的です。
例えば、好きな香りを部屋に置く、アロマを焚いてみる、リラックスする音楽をBGMにかけてみる、やわらかい素材の部屋着にするとか、アロマキャンドルを灯し火を見つめる(火のもとに気を付けて)などは、気持ちを穏やかにします。
私は、アロマを焚いて外出するようにしています。帰宅したときに良い香りで出迎えてもらうと、本当に気持ちが穏やかになります。
自分の好きな香りを見つけるなども、つらい気持ちから離れられる時間になります。その過程も含めて、自分をいたわるようにしてください。
3. 夜がつらいときに試したい「心を落ち着かせる習慣」

辛い時ほど人は「より良くしたい」と、人生に向き合えるものです。そんな時こそ、新しい習慣を身に着けようと真剣になるもの。
ここでは、「心を落ち着かせる習慣」を提案します。
なんだかよさそうだなと思うものがあれば、取り入れてみてください。
● 今日の良かったことを書き出す

寝る前に今日あった良かったことを5つ書き出してみましょう。
ノートに書き溜めていくのもよいし、小さなメモに1つ書いて、大きな瓶にそれを折りたたんでためていくのもいいですよ。毎日こんなにいいことがあったのかと気が付くことができますし、それがたまっていくのを可視化することで、自分の人生は良いことにあふれていると気が付くことができます。
また、習慣化することでいいことを見つける癖がつきます。悲しい気持ちがある反面、同じくらい自分にいいことは起こっています。
例えば、今日飲んだコーヒーの香りが良かったとか、子どもが些細なことで笑っていたとか…日常に幸せがすでにあることがわかるでしょう。
● 深呼吸をする

緊張していたり感情が高ぶっているときは、呼吸が浅くなりがちです。ここで意識的に深く呼吸をするだけで、気持ちが緩みます。
何か悲しみにとらわれすぎていたと気が付くこともあります。これを1分、3分と増やしていくこともいいですね。
● 好きな本やドラマに没頭する

ジャンルにもよりますが、何かに没頭するという意味では、有効になります。
ただし、寝る直前までブルーライトの光を浴びるのは睡眠の妨げになる可能性もありますので、あまりお勧めではありません。
● ストレッチやマッサージ

オイルなどで自分をマッサージしたり、またはお子さんがいる方はお子さんにマッサージをすることで、肌の触れ合いがあることも癒されます。
ストレッチをしたり、一日の疲れた体をいたわることで、睡眠の質が上がることも。
一日頑張った自分のためにも、自分を癒してあげましょう。
4. まとめ「一人の夜」にも安心感を持つために

一人の夜にはついつい、悲しい世界に引きずり込まれることがあります。
ですが、それは喪った人があなたにとってとても大切な人だったという証です。
その悲しみは自然なことなので、それを悪いものだと否定する必要すらありません。
まずは、そんな自分を丸ごと受け入れてあげることから始めてください。
自分が一番の自分の味方。それをよく理解して、自分をもっと知ってあげるいい機会だと思ってください。
そして、自分は何が好きで何に癒されるかをいろいろ試してみるいい機会にしてください。
自分の喜ぶことが、夜に待っていると思えば、夜を怖がる必要もありません。
むしろ楽しみになるくらい、スペシャルな習慣が出来上がればいいですね!
ちょっとした意識の違いで、大切な人との死別体験の意味合いを変えていくことができます。