離婚ではないけれど…姻族関係終了届のメリット・デメリットと進め方

離婚ではないけれど…姻族関係終了届のメリット・デメリットと進め方

1. 姻族関係終了届とは?

概要

姻族関係終了届とは、配偶者の死後に義父母や義兄弟など生存している側が配偶者側の親族との法律上のつながりを終了させるための手続きです。

姻族関係終了届が役所に受理されて姻族関係が終了すると、たとえば義理の父母の扶養義務がなくなる等があり、「死後離婚」とも呼ばれています。

死別後の生活を見直すうえで重要な手続きともいえるでしょう。

今回は「姻族関係終了届」から、死別後に配偶者の死後の姻族とのかかわり方について一緒に考えていきましょう。

2. 私が義実家との関係を続けた理由と姻族関係終了届を出した経緯

私は夫の13回忌を期に、姻族関係終了届を出しました。

なぜこのタイミングでこの手続きをしたのか、私の経験を踏まえて、私なりの「姻族関係終了届」についてお話をしたいと思います。

出さなかった理由

夫婦としては続いていると思っていた


夫が亡くなった当初、夫が亡くなったとしても、私は「夫婦の関係は変わらず続いている」と信じていました。

死亡届は出したものの、「離婚届」のような夫婦に関わる書類は出していなかったからです。姻族関係終了届の存在を知ってはいましたし、「死後離婚」とも言われているこの書類を出さなければ、変わらず夫婦のままであると思っていました。届を出すことで、夫との夫婦の繋がりが終わってしまうような気がして、当時は終了する選択肢は考えられませんでした。

しかし、13年目の今回の婚姻関係終了届について改めて調べたところ、配偶者が亡くなった時点で、夫婦としての関係が終了しているということがわかりました。

包み隠さずお伝えすると、夫の死後直後、義実家からは、信じられないような心無い言葉をたくさんかけられました。ですので、離れたくして仕方なかったですが、夫との夫婦関係が終わってしまうと思うと出せませんでした。

私が「夫が亡くなった時点で夫婦関係が終了する」という事実を知っていれば、もっと早く婚姻関係終了届を出していたと思います。もし私のように、旦那様との夫婦の関係が終わりたくないからという理由で婚姻関係終了届を出せない方がいたら、言葉を選ばずにいえば旦那様との関係は亡くなった時点でとっくに終わっているので、手続きをすることを前向きに考えるご提案をします。

遺された姻族との関係だけを考えて、婚姻関係終了届を出すか出さないかの判断をしていくといいでしょう。

子どもへの愛情ルートの確保と維持

姻族関係終了届を出さなかったもう一つの理由は、子供と祖父母との関係です

わたしの個人的な感情で子どもたちに愛情を注いでくれる人たちとの関係を断絶していいのかという葛藤が生まれました。祖父母の子供たちへの愛情は感じていましたので子供たちのために、私は出さない選択をしました。

しかし、時が経つにつれて、義実家との価値観の違いや心理的な距離の負担がのしかかり、葛藤が生じるようになりました。そして、婚姻関係終了届を出すことは心に決めて「いつ出すのか?」が私の課題と変化していきました。

お守り代わりに持っていた

婚姻関係終了届は配偶者の意思によりいつでも出せる書類です。

「いつでも出せる」=主導権は自分の手の中にあると言い聞かせ、お守り替わりに婚姻関係終了届を手元に置いていました。

嫌なことを言われても、自分の好きなタイミングでいつでもこの人たちと縁を切れるとい言い聞かせ、私は長い間耐えていました。この書類は私にとって、心の支えであり、自由な世界へ行くための大切な切符でした。

出したきっかけ

しかしながら、ついに書類を出すことになります。

私が出したきっかけは義兄弟の一言です。夫を亡くし、ひとり世帯主として頑張っている私にはとても理解しがたい言葉を発したことで私の我慢の限界が来ました。

義兄弟と姻族であることに違和感しかなくなり嫌悪感だけになったので、終了をすることを決めました。

義両親に対しては、厳しい言葉はあったものの、夫を生んでくれた大切な人。死後のことを刺させてくれた部分もあり、感謝はありました。どちらかという義両親の死後、残された義兄弟と姻族でいることが生理的にどうしても受け入れられなくなり、私はひっそりと届を出しました。後日談はたくさんあるのですが、詳細はまた別の機会にお話しできればと思います。

・出した今の想い

あおいほし
あおいほし

届を役所に出すこと自体はとてもシンプル。窓口で書類を出すだけです。

精神的にとても楽になったので、私個人は出したことに全く後悔はないということです。

むしろ、「何をそんなに我慢をしていたのだろう。早く出してしまえばよかった」という思いと、「今までお疲れ様」という自分をねぎらう気持ちが沸き上がりました!

姻族関係終了届のメリットとデメリット

姻族関係終了届のメリット

では姻族関係を出すことのメリットとデメリットを見ていきましょう

世の中には「絶対にこれが正しい」ということはありません。表裏一体であり、一長一短です。ですので、ご自身の状況を踏まえて、メリットとデメリットを照らし合わせてみてください。

法的な関係の明確化

配偶者の死後、義家族と戸籍上のつながりを解消でき、義務感から解放されることもあります。

経済的な負担の軽減

義家族への金銭的支援を求められた場合、義理の付き合いの費用が減る、もしくはなくなる可能性も出てきます。

心理的な負担の軽減

配偶者が生きていたから、絶妙なバランスで義実家との関係を良好にしていた場合、配偶者が亡くなったことで、そのバランスが崩れる場合があります。義実家との不必要な干渉が多かった場合、そのストレスから解放され、精神的な安定が得られることもあるでしょう。

意思決定などの自由

上記のように感傷的な場合や、配偶者を亡きあとに必要以上に子供たちに期待をされたり、影響を及ぼそうとする場合があります。そのようなときに義家族からの影響を受けず、自分と子どもに最適な選択が可能になります。

姻族としての関係が終了するので、関わり事態にストレスを感じている人にとっては、ストレスからの解放が見込まれ、心身ともに楽になる可能性もあります。

姻族関係終了届のデメリット

姻族関係終了届はナイーブな側面もありますので、デメリットも考えて、提出するかを考えてください。

撤回できない 

いったん姻族関係終了届を出してしまうと、後悔しても撤回することはできません。

子どもの人間関係への影響

法律上は子どもが祖父母との関係は変わりませんが、感情的な部分で「縁を切られた」と感じる可能性があります。そのため、親族と疎遠になる可能性がある。

経済的支援の喪失

義家族からの援助を受けている場合、こちらも感情的な部分で受けられなくなる可能背があります。自分がしっかりと精神的にも経済的にも自立を進めることが大切です。

関係悪化の引き金


義家族が感情的になることで、かえって争いが生じるリスクがあります。

義実家の性格や特性を鑑みる必要があるでしょう。

姻族関係終了届は手続きが簡単な分、「感情」という見えない部分が複雑に絡み合う可能性があり、そこが引き金となりデメリットが大きくなる可能性があります。

あおいほし
あおいほし

私は、浅い考えで姻族関係終了届を提出しました。義実家に伝わってからが、とても大変でしたので、事前に義実家への感謝を伝えて、なぜこの書類を出したいのかを説明した方が良かったかもしれないという思いがあります。

ですが、出したことに全く後悔はありません。

チェックポイント

メリットとデメリットをよく考えて、ご自身の幸せな未来の選択ができることを祈っております!

5. 姻族関係終了届を提出した後の変化

姻族関係終了届を出した後の変化はどのようなものか、見ていきましょう。

自由を取り戻した生活

義実家からの連絡が無くなり、心理的な負担が軽くなる。

*義実家との連絡ややり取りに負担を感じている場合、姻族ではなくなりますので、連絡が無くなることで負担も軽くなります。

いつ連絡がくるのだろう‥というような頭の片隅にあるモヤモヤした気持ちや、連絡がきたときに重たい気持ちになる時間が無くなることで、精神的にとても解放されます。

また、会ったときになんとなく「あなたのせいで亡くなった」みたいな感情を出す親族がいる場合、それが無くなることは大変すがすがしいものです。

義実家の価値観にとらわれることなく、自由な人生を手にすることができます。

子どもとの時間を最優先に


義実家がいろいろと口や手を出すような場合、そこに振り回されることなく、自分のペースで子育てができるようになります。

ただし、子供と祖父母の姻族の関係は変わらず続きますので、ここは子どものきもちを優先することをお勧めします。

子どもも「もう会いたくない」という気持ちなのか、「このまま関係を続けたい」と思うのかは、丁寧に子どもに聴いてあげ、尊重することを忘れないでください。

自分だけが疎遠になり、子どもは変わらない関係が良好な場合もあります。自分の感情だけを優先せず、全ての家族の新しい生活を受け入れる気持ちも忘れずに。

6. 手続きの進め方

では、具体的な手続きの進め方をお伝えします。

手続きはいたって簡単です。

「姻族関係終了届」を提出すると、あなたの戸籍の身分事項欄に「姻族関係終了」の旨が記載されます。

亡くなった配偶者の親族があなたの戸籍謄本や抄本を取得した場合、この記載を通じて届出を出したことがバレる可能性があります。

(*戸籍謄本や抄本の取得には正当な理由が必要。義実家が容易に入手できるものではありません。)

身分事項欄に「令和○年○月○日亡夫○○の親族との姻族関係終了届出」といった記載がなされます。

まとめると、義実家が正当な理由であなたの戸籍謄本や抄本を取得した場合、身分事項欄の記載から「姻族関係終了届」の提出を知る可能性があります。

7. まとめ:夫とのつながりと自分の未来

「夫との夫婦の関係が終わるのは嫌」そんな気持ちがぬぐえず、姻族関係終了届を提出することがずっとできませんでしたが、それは死別した時に終わっていました。

ただ、姻族関係終了届を出した今でも、夫は変わらず私の大切な夫であり、意識としては何ら変わることがありません。

なぜ書類という形式にこだわっていたのだろうという気持ちがあります。

そういう意味でも、私の場合は姻族関係終了届の提出をすることで、未来へ新たな一歩を踏み出すことができました。

ただし亡くなった人を取り巻く人たちの感情や、結婚の認識は大いに違います。

だからこそ、姻族関係終了届の意味合いも人それぞれ重みが違います。

配偶者を思う気持ちや、よりよい未来のイメージもそれぞれ違いますので、それを理解したうえで、場合によっては、手続きを進めるうえで丁寧な説明が必要な場合があるでしょう。

自分や子どもたちの幸せのために、現実と向き合い、自分には何が必要で、どんな未来にしたいかを考えてみてください。

その時に姻族関係終了届があなたにとって必要か否かをしっかりと考えて、答えを出すことができるといいですね。

心から死別した人が少しでも楽になる人生を歩めますように応援しています。

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