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1. 経済的な不安
シングル家庭の家計を立て直すための具体策
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大切なパートナーを亡くした場合、経済的に大きな打撃があるご家庭も多いことでしょう。
例えば、我が家のように収入を夫のお給料のみに頼っていた場合、収入源が一気に途絶えます。
しかも、専業主婦で子供が小さい場合、再就職をするのにも非常に不利。
このような事態の場合、生活をしていくのもままなりません。
結婚後に専業主婦になるのは非常にリスクのあることですので、できれば子供を育てながらも仕事を続けるなど、ひとりでも生きていけるようにしておくことはとても大事なことです。
現に私のカウンセリングを受けたクライアントの方の中で、仕事を続けてきた方は「経済的には心配はないが、精神的に不安だ」とおっしゃる方が非常に多く見受けられました。
要は「お金の悩み」という大きな問題はないので、心のケアに集中すればいいという、少し悩みの少ない死別生活をスタートできるとも言えます。(心のケアは別のところでお話をたくさんしていきます)。
もし今、パートナーがおられる状態の方は仕事を止めることなく子育てをするということが最大のリスクヘッジということを覚えておいてください。
また、NISAなどを利用して、少額からでいいので投資をすることもおススメ。
預金の利子とは違い、アップダウンはあるものの貯蓄のそれよりも大きく増える可能性があります。
あくまで投資は自己責任ですが、自分一人の一馬力だけで収入を増やすには限界があります。
お金にも働いてもらうという意識を持ち、投資という選択肢も広げてみてください。
さて、話を本題に戻します。
まず、夫を亡くした時に、経済的に立て直していくヒントを10個挙げますので、参考にしてください。
経済的安定のためのアドバイス
・収支を書き出す:家庭の収支を見える化する。
・固定費を削減:特にサブスクリプションサービスなどを確認。
・心を整える期間を設ける:心の準備が整うまで一旦休息を取る。
・支出を気にせず使う期間を設ける:一時的にストレス解消を優先する。
・節約生活を試す:一度徹底した節約を行い、支出を見直す。
・予算を決める:ストレスを感じない範囲で生活費を設定する。
・貯蓄や投資を始める:少額から始め、資産運用を検討する。
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私が実践して一番良かったのは、ひと月だけ支出を気にせずに使ったことでした。
お金で寂しさが埋まるかというとそれは完全ではなく、虚しさも生まれることを経験しました。
逆に、超節約に走ると心が疲弊。
そこで、自分にとってお金とは何なのかを考えたのです。
良いお金の使い方が見えてきて、お金の不安が激減しました。
自分とお金の関係を知ることで、過剰に不安でい続けることを減らすことができます。
また、「サブスクを見直す」というのは、亡きパートナーのものから取り掛かってください。
悲しくて彼のスマホを見られない等言っている場合ではありません。
驚くようなものに課金しているなんてこともあります。
悲しみとともにお金の垂れ流しは厳禁。
案外、こういう現実的な部分に触れると、悲しみが一気に冷めるなんてこともあります。
経済=現実。
早い段階で向き合って、余計な不安を最小限にする努力をしましょう。
2. 子どもの心の不安
子どもの心に寄り添う:死別後のコミュニケーションのヒント
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死別した後、傷ついていたり、悲しい思いは自分だけではなく、子どもも同じです。
子どもの心のケアをどうしたらいいのか、心配ですよね。
しかし、子どもは順応性が高いので、必ず立ち直ると信じることが大切。
「あなたを信じている」というスタンスで子どもに接するといいでしょう。
親がいないからかわいそうと過剰に思うと、純粋な子ども「私はかわいそうな子」と刷り込まれる可能性も大。
あなたと大切なパートナーの子どもなのだから、大丈夫と信じて接してください。
また子どもは親の役に立とうとしてくれます。
時に頑張ってあなたを励ますこともあるかもしれません。
その時はそれをしっかり受け止めて「ありがとう」と言ってください。
「ごめんね」と謝る必要はありません。
我が家の場合は、「母はパパの分も頑張る」というより、パパがいないことを受け入れ、それぞれが同じチームのように得意な部分を補い合い、助け合うような家族に切り替えました。
そうすると、チームメイトとしてそれぞれの力を発揮できます。
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また、「いつ人生の幕が下りるかわからない」と夫が教えてくれたことで、「ありがとう」や「大好きだ」ということを惜しみなく伝えるようにしています。
夫に伝えきれず後悔したことは、二度と繰り返さないように心がける事。
さらに、サポートしてくれるサービスは余すことなく使いましょう。
あなた一人ではない。
地域の人の支えを受けながら育てることをお勧めします。
「自分一人で頑張る」ということは、早い段階で手放すことをお勧めします。
学校の先生やスクールカウンセラー、ひとり親の学習支援(地域による)や、家事サポート、ファミリーサポートなどの有償ボランティア等に頼りながら、なるべく一人の時間を作って子育ての軽減を図るようにしましょう。
あなたの気持ちが疲弊してしまっては、子どもにいい影響など1ミリもありません。
頼ることは、子どもだけでなく、あなたのメンタルケアにもなります。
子どもに対する不安はあなたの心が生み出したものです。
まず自分の心の安定のために、子どもとの心地の良い距離感を見つけましょう。
また、死別した子どもたちのケアをする団体もありますので、利用してみるのもいいでしょう。
親を亡くした子どもへの支援を提供する団体の概要
あしなが育英会
親を亡くした、または重度の障がいを持つ親を持つ子どもたちに教育支援を行う団体。奨学金や、心のケアを目的とした「つどい」を全国で開催し、子どもたちが悲しみを共有し、新しい一歩を踏み出せる場を提供。
AIMS (特定非営利活動法人 AIMS)
親をがんで亡くした子どもへのグリーフケアを実施。子どもたちが遊びや会話を通じて感情を表現し、悲嘆を和らげるプログラムを提供。専門のファシリテーターが安全で安心できる環境を整えている。
Hope Tree(ホープツリー)
終末期がん患者の子どもとその家族への支援が充実。グリーフケアを提供し、親を亡くした子どもたちのために、相談の場や情報提供を行う。全国の支援団体へのアクセス情報も提供。
認定NPO法人グリーフワークかがわ
香川県を拠点に、親を亡くした子どもと保護者向けの相談・支援活動を展開。地域密着型で、カウンセラーの育成やミーティングを通じて遺族に寄り添うケアを行う。
全国自死遺族総合支援センター(グリーフサポートリンク)
ダギー・センターモデルを取り入れ、わかちあいの場や心理ケアプログラムを実施。子どもたちが悲しみを表現できる場を提供し、家族全体での心の支援も重視。
グリーフサポートせたがや
東京都世田谷区を拠点に、身近な人や大切なものを失った子どもや大人を支援する活動を行っています。死別やその他の喪失を経験した人々が自身のペースで気持ちに向き合える「サポコハウス」を運営。個別相談(電話や対面)、ピアサポートグループ、グリーフについて学ぶ講座やファシリテーター養成講座を提供し、安心して過ごせる場を作ることを目指している。
3. 健康の不安
心と体を守るためのセルフケアの基本
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大切なパートナーを喪い精神的に大きく落ち込みます。
場合によっては、眠れなくなったり、体調不良になることもあります。
子どもにとって自分しかいないというプレッシャーに押しつぶされそうになり、自分の健康に対して過度な不安を感じることもあるでしょう。
それもそのはずで、アメリカの精神科医トーマス・ホームズとリチャード・レイが1967年に開発した「社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale, SRRS)」で、さまざまな生活イベントや出来事が個人に与えるストレスの度合いを数値化したストレスランキングでは「配偶者の死」が群を抜いて1位となっています。
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このように、配偶者の死という体験はストレス値が非常に高い。
だから、不安になるのも当然と理解することがスタートです。
そうすれば、無理に頑張りすぎることなく、自分のペースで心と体をケアしていけばいい。
身体に関しても、信じられる主治医を見つけておくこと。
気になったらすぐに専門機関に相談をすることをお勧めします。
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また心理的にやる気が出ないなどもあるかもしれませんが、体力が衰えると気持ちも後ろ向きになりやすいので、毎朝朝日を浴びて、できればお散歩など簡単なことをして筋力を落とさないことを心がけて。
人に会いたくないという時期もあるでしょう。
そういう時は、引きこもりの期間をある程度決めておくなどして、動けない自分もOKとすること。
傷を癒しているのだと思って無理はしないようにしましょう。
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私は、死別直後は手続きなどで精力的に動き回っていましたが、それが終わるとぱったり動けなくなり、数か月引きこもり生活をしていました。
パジャマから着替えることもなく、ときに顔も洗わず、パズルをひたすらするということをしていましたよ。
時がたつと「もうそろそろ動こうかな」と自然に思って、社会復帰をする気持ちが芽生えたので、私はまずは無理をしないことをお勧めしています。
ストレスランキングに関する参考サイト
・All About(ストレスランキングに関するカテゴリ)
・Wikipedia(英語版)