「自分を守る」とか、「境界線を引く」というのは、とても大事なことです。
夫を亡くしてから、私はこの「境界線」ということを、嫌というほど考えるようになりました。死別後、心が敏感になっていた時期、人からの言葉にとても傷つきやすくなっていたからです。
自分の課題と相手の課題というものがあり、それは奪ってはいけないものです。踏み込まないでいれば問題ないのですが、自分の身を守るために相手を攻撃する人が必ず出てきます。逆に、境界線をがつがつ踏み込んでくる人もいます。
この記事では、死別を経験した私が気づいた「伝えること」の大切さと、攻撃的な人とどう向き合うかについてお話しします。
死別後、人の攻撃性が見えるようになった
夫を亡くした後、不思議なことに、人の攻撃性がよく見えるようになりました。
自分の心が敏感になっていたからかもしれません。でも同時に、「この人は何かに怯えているんだな」ということも、分かるようになったんです。
相手は、自分の安心・安全のために一生懸命に動いている場合があります。
それを脅かす人が現れたと感じた瞬間、その人は「敵」になります。
例えば、自分の生活を支えている会社に属している場合。そのために自分は身を粉にして働いているのに、新人さんが入ってきて、まだ仕事もわからずミスをする、なんてことはよくあります。
でも、その新人さんが「自分の評価に関わる」と思った途端、言葉に棘が生まれ、周りから見たら「それ、ハラスメントでは?」と思われるような奇行をし始める……そんなことはありませんか?
昨日まであんなに優しく教えてくれていたのに、急に怖くなったと感じたり、きつい言葉を発していると思ったり。
それは、その人自身の不安が高まっているからかもしれません。
死別後、私自身も不安でいっぱいでした。だからこそ、人の不安が見えるようになったのかもしれません。
夫を亡くして学んだ「もう伝えられない」という後悔
夫を亡くして、一番後悔したこと。
それは、**「ちゃんと伝えておけばよかった」**という想いです。
「ありがとう」 「愛してる」 「あなたがいてくれて幸せだった」
そんな言葉を、もっともっと伝えておけばよかった。当たり前のように一緒にいた日々。まさか、こんなに早く別れが来るなんて思っていませんでした。
この経験から、私は学びました。
伝えたいことは、今、伝えないと、もう伝えられなくなるかもしれない。
それは、愛情や感謝だけではありません。「嫌だ」「やめてほしい」「傷ついた」という気持ちも同じです。
私が経験したパワハラと、飲み込んだ想い
私は、かつて本当にきついパワハラを受けたことがあります。
それ以外にも、急に攻撃的になる、みんなの前ではめちゃくちゃ責めるのに、二人きりになると優しくされて、「あれ? 私の勘違いだったかな?」
と相手を擁護する気持ちが生まれ、パワハラをうやむやにしてしまいそうになる、そんなこともありました。
ちゃんと伝えたらよかったな、と思い出すきっかけになることが、今も頻発しています。
それも、小さな後悔。
夫を亡くして、ちゃんと想いを伝えたいと思っていたのに、私はあやふやにしてしまうことがとても多かったなと思います。
「まあいいや」 「波風立てたくないし」 「言っても変わらないだろうし」
そうやって、自分の気持ちを飲み込んでいました。でも、それが積み重なって、小さな後悔になっていたんです。
自分を守ることと、攻撃することは違う
自分を守ることは大事です。でも、攻撃することを許すのは違いますよね。
ただ、その人の背景を想像してみることで、心の持ち方が変わります。
「きっと不安から逃れたくて、この人は攻撃しているのかな」
そう思えると、境界線を引くことができます。
「私という人格がダメなわけではない」と理解し、相手の感情に飲まれないことは、とても大切です。
死別直後、私は多くの心ない言葉を受けました。
「まだ若いんだから、再婚すればいい」 「子どものためにも、早く元気にならないと」 「いつまで悲しんでいるの」
そのたびに傷ついて、「私がダメなのかな」と思っていました。でも、違ったんです。
相手が攻撃的なのは、相手の問題。あなたの価値が低いわけではありません。
渦中にいると、心が侵食されてしまう
とはいえ、その渦中にいたり、ひどい言葉を浴びせられ続けたりすると、洗脳のように心が侵食されてしまいます。
「私がダメなんだ」 「私が悪いんだ」
そう思い込んでしまう。それが、攻撃する人の怖いところです。
死別シングルマザーとして学んだこと
死別シングルマザーとして生きてきた15年間、私はこのことを何度も経験しました。
そして学んだのは、すぐに誰かに話すことの大切さです。
一人で抱え込むと、どんどん視野が狭くなって、相手の言葉が真実のように感じてしまいます。でも、信頼できる人に話すと、「それは違うよ」「あなたは悪くないよ」と言ってもらえる。
「味方がいる」「わかるよ」と言ってもらえるだけで、気持ちは楽になりますよね。
そして、嫌いな相手だからこそ、一旦その人を客観的に観察してみること。
嫌な人は見たくもないし、目をそむきたくなることもありますが、あえてその逆をしてみる。
「この人は、何に怯えているんだろう」 「何が不安なんだろう」
そう考えてみると、見えてくるものがあります。そして、「ああ、この人も大変なんだな」と思えると、少し心が楽になります。
戦うのではなく、伝えること

戦いたいわけではなく、自分の感じたことを伝えるということが、「小さな後悔」を生まないことなのだと、最近あらためて思います。
ひいてはそれが、自分を本当の意味で守るということなのだろうと思います。
「嫌だった」 「傷ついた」 「やめてほしい」
そう伝えることは、相手を攻撃することではありません。自分の気持ちを正直に伝えるだけです。
でも、それができずに飲み込んでしまうと、後で必ず後悔します。
「あの時、ちゃんと言えばよかった」 「なぜ我慢してしまったんだろう」
そんな小さな後悔が、積み重なっていく。
夫にもっと伝えたかったことがあるように、今目の前にいる人にも、ちゃんと伝えたいことは伝える。それが、後悔しない生き方なのだと思います。
死別を経験したからこそ、伝えたいこと
夫を亡くして、私は学びました。
人生には、「もう伝えられない」という瞬間が必ず来る。
だから、我慢しない。飲み込まない。あやふやにしない。
それが、自分を守ることであり、相手との関係を誠実に保つことでもあると思っています。
小さな後悔を積み重ねないために
死別シングルマザーとして15年間生きてきて、私は何度も「伝えておけばよかった」と後悔してきました。
夫に伝えたかったこと。 子どもにもっと早く伝えればよかったこと。 職場で言えなかったこと。
でも、今はもう、後悔しないように生きると決めています。
伝えたいことは、今、伝える。 嫌なことは、嫌だと伝える。 ありがとうは、その場で伝える。
それだけで、心がすっと軽くなるんです。
まとめ―本当の意味で自分を守るとは
攻撃してくる人は、必ず現れます。
でも、その人の背景を想像することで、心の距離を保つことができます。「この人は不安なんだな」と思えれば、相手の言葉に飲まれずに済みます。
そして、大切なのは
- すぐに誰かに話すこと
- 一人で抱え込まないこと
- 自分の感じたことを、ちゃんと伝えること
戦うのではなく、自分の気持ちを正直に伝える。それが、本当の意味で自分を守ることなのだと思います。
夫を亡くして15年。今、私が一番伝えたいことは
伝えたいことは、今、伝えてください。

小さな後悔を積み重ねないために、自分に嘘をつかないために。
そして、後から「あの時、ちゃんと言えばよかった」と思わないために。
今、伝えましょう。
あなたの気持ちは、あなたが一番大切にしてあげてください。
それが、大切な人を亡くした私が、15年かけて学んだことです。